「現代の名工」というのは、全国の都道府県知事などから推薦を受けた人の中から、厚生労働大臣が技能者表彰審査委員の意見を聴いて選定した、我が国最高水準の、きわめてすぐれた技能を有する者です。
鹿児島の杜氏では、八千代伝酒造の吉行正己杜氏(平成21年受賞)、鹿児島酒造の黒瀬安光杜氏(平成25年受賞)に次ぐ3人目の受賞となります。偉大な名杜氏と同じ賞を頂けることになりまして、大変光栄に思っています。
焼酎業界にも、日本酒同様、杜氏と呼ばれる造り手のプロは、若手からベテランまでたくさんいます。今回の受賞を機に、焼酎業界にも日本酒に負けないぐらい、個性ある杜氏が揃っているということを知ってもらい、これから焼酎業界がもっと盛り上がってくれることを期待しています。
写真は、平成29年11月6日(月)、リーガロイヤルホテル東京で行われた「現代の名工」の表彰式の様子です。



【プロフィール】
安田宣久(やすだのぶひさ)/昭和26年生まれ。鹿児島大学農学部卒業後、地元企業に就職。昭和61年、国分酒造協業組合(現:国分酒造株式会社)入社。当時の今城杜氏(阿多杜氏)のもとで焼酎造りを学ぶ。平成4年、国分酒造の杜氏となる。平成9年、芋麹造りに取り組み、焼酎業界初の芋100%焼酎「いも麹芋」を開発。平成15年より霧島市の農家・谷山秀時さんとともに、大正時代の芋「蔓無源氏」の復活に取り組み、大正時代の手法で仕込んだ「蔓無源氏」を開発。平成24年、独自の手法でライチにも似た芳醇な香りを放つ「安田」を、更には、明治維新の頃の製法を復元した「維新ノ一滴」など、独自の手法の芋焼酎を造り続けている。
【技能功績の概要】
芋焼酎製造に長年従事し培った技能を有し、特に製麹技能に卓越している。蒸した芋に直接種麹を付けて発酵させる固体発酵技術による芋麹の製法を確立し、芋麹による芋100%焼酎を開発したほか、製麹に三昼夜かける「老麹(ひねこうじ)」と二次醪の長期発酵という大正時代の手法を再現した芋焼酎の開発等、常に新たな芋焼酎の開発に取り組んでいる。また、研究会等で芋麹に関する技術を提供するなど、後進の指導・育成に貢献している。
杜氏・安田宣久にとって最大の功績は、何といっても、"芋麹"による芋100%焼酎の開発です。平成9年に初めて取り組んだ時、アルコールがなかなか出ずに、もろみを捨てる寸前までなりましたが、その後研究を重ね、"蒸した芋に直接種麹を付けて発酵させる固体発酵による芋麹の製法"を確立することができました。
「現代の名工」受賞を励みに、杜氏・安田宣久を中心に、これからも美味しい芋焼酎造りに頑張ってゆきます。