2.芋焼酎「安田」の発売 3.麹の役割について

2.芋焼酎「安田」の発売

平成25年10月16日、芋焼酎「安田」が発売になりました。独特の風味を、お客様がどう評価するのか、期待と不安で、いっぱいの気持ちでした。

いざふたを開けてみると、いい意味で、予想を見事に裏切ってくれました。今までにないタイプの芋焼酎ということもあり、予想以上の反響があり、初年度発売分は、すぐに完売となりました

「安田」についての評価は、「マスカット」「ライチ」などの果物系の風味がするという意見が多く、白ワインやグラッパに例える方もいらっしゃいました。

芋焼酎に使われる原料は「さつまいも」で、白ワインやグラッパに使われる原料は「ぶどう」です。「蔓無源氏」のように甘くねっとりとした「さつまいも」は、ワインなどの原料となる「ぶどう」と、お酒を造る上で、共通する部分が多いのではないかと考えるようになりました。

そんな中、平成25年11月に、野菜ソムリエ協会主催の「野菜ソムリエサミット」に「蔓無源氏」の芋を出品し、食味評価部門で3位に入賞したのですが、その時の野菜ソムリエの方のコメントが、とっても印象的でしたので、ご紹介します。

・果肉の濃いオレンジ色が美しく、甘さもあり、フルーティーな味わい。
・ギュッと詰まった味と深みで、今まで味わったことのないようなサツマイモの概念が覆された感覚。

「安田」という焼酎を造ることで、いろんな発見がありました。



3.麹の役割について

それでは、「安田」の独特の風味は、どこから生まれるのでしょうか?
その原因について調べてゆくと、麹菌の造り出すある酵素が、大きな影響を与えているのではないかということに気付きました。
ここで、「麹」の役割について、少し触れてみたいと思います。

日本酒・焼酎造りにおいて、一番最初の工程が「麹造り」です。
麹は、デンプン分解酵素、タンパク質分解酵素などの、お酒を造る上で欠かせない酵素を、安定的に造るというのが最大の役割で、更に焼酎用麹(白麹・黒麹)については、雑菌をおさえるクエン酸を必要なだけ生成するという役割もあります。


麹菌の造り出すα-アミラーゼ・グルコアミラーゼ等の酵素が、原料(米や芋)のデンプンをブドウ糖に変え、麹菌の造り出す酸性プロテアーゼ・酸性カルボキシペプチターゼ等の酵素が、原料のタンパク質・脂質を、アミノ酸・脂肪酸に変えます。

こうしてできたブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸は、酵母の働きで、アルコールや旨味成分(高級アルコール等)となり、お酒を造り出しています。

ここで注目したいのが、麹菌の造り出す、「β-グルコシターゼ」という酵素です。この酵素は、さつまいもの成分を分解し、芋焼酎特有の香り成分を造り出しています。この香り成分が、芋焼酎「安田」独特の風味に大きな影響を与えていますが、詳細は後ほど詳しくお話します。


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